篠笛とは
庶民に愛された笛「篠笛」
篠笛とは、日本の伝統的な木管楽器、篠笛は細めの竹「篠竹」に唄口という息を吹きこむ穴と、指穴をあけたシンプルな構造の横笛です。
篠笛は平安時代にはすでに広く使われてい笛で、上流階級で使われてきた「龍笛(りゅうてき)」、「能管(のうかん)」と比較して、篠笛は庶民階級の間で愛好されていました。
割れ止めに籐(とう)という細い蔓(つる)を巻き、漆(うるし)を塗るだけの簡素な構造が特徴です。
篠笛の起源は中国大陸から伝わった「龍笛」だと考えられていますが、篠笛と龍笛は基本構造や音階が異なり、龍笛が簡素化しただけの楽器ではないとも言われております。
唄用とお囃子用の違い
簡単に言ってしまうと調律されているか、されていないかの違いです。
お囃子用篠笛
元々、篠笛は製作しやすく演奏もしやすくするために指穴を均等の間隔で、同じ大きさの穴にあけたものでした。
この形のものを「古典調」、「お囃子(おはやし)用」と呼んでいます。主にお祭り等で使用されており、調律がされていないのが特徴です。
唄用篠笛
昭和初期に民謡(歌や三味線)に合わせやすい笛を作るため、指穴の位置と大きさを調節した篠笛ができました。これを「唄用篠笛」と呼ぶようになりました。
趣味で篠笛を始められる方は、ピアノ等の西洋楽器と合わせられる唄用篠笛をおすすめ致します。
篠笛の部位解説
菅頭
篠笛の頭の部分です。ここに漢数字で調律を表す調子が 書かれています。 (笛の種類によっては調子が書いていないものもございます)
唄口
息を吹きこむところです。
指穴
指で押さえる部分です。6個の穴があいている六穴と、7個の穴があいている七穴があります。 六穴でも七穴でも同じ音階がでます。なぜ7個目の穴があるのかについては、一説では音の響きをよくするためといわれておりますが、詳しくは分かっておりません…。
巻き
なにも巻いていないもの、糸、ビニール、籐(とう)、樺(かば)などで巻いたものがあります。巻き方は天地巻 、半重(はんしげ)、総巻(そうまき)とあります。
篠笛の「巻き」
素竹(すだけ)
巻き無しのもの。響きが抑えられることなく、音が出しやすい。乾燥や高温に弱いので注意が必要です。
天地巻
笛の両端、天地に巻いたもの。素竹に比べると割れにくく、力強い音が出ます。
半重(はんしげ)
天地巻きと総巻の間くらいの巻きのもの。
総巻
笛全体に巻いたもの。強度的には一番強いです。見栄えも良く、音的には素竹は竹らしい音が出るのに対し、力強く響きが良いようです。
調子について(唄用のみの説明)
調子とは音の高さの事をいいます。一番低い「一本調子」から最も高い「十二本調子」まであります。低音のものほど笛自体の長さが長く、高音になると短くなります。
塗りの種類
篠笛には何も塗らないものから、漆を塗ったもの、人口漆を塗ったものなどいくつか種類があります。それぞれの特徴を解説します。
素竹(すだけ)
表面に何も塗らないものです。竹本来の手触りを楽しめますが乾燥、水気に注意が必要です。
人工塗料
乾燥・水気に強くなっています。漆などと比べるとお求めやすい価格になっております。
カシュー
漆系の合成塗料です。漆よりはお求めやすい価格で、乾燥・水気にも強いです。もっとも一般的なタイプです。
漆(うるし)
日本古来の塗料「漆」を塗ったもの。自然な風合いと強度を出すことができます。また、吹いていくごとに音色が良くなるとも言われています。
竹の種類
使用される竹にも種類があります。それぞれの特徴を解説いたします。
篠竹
篠笛作りに通常使用される竹。
煤竹(すすたけ)
日本家屋の天井などに使用され、何十年と囲炉裏の上で燻され、極限まで乾燥し、飴色の煤竹となります。煤竹はよく乾燥していることと、褐色の風合いが好まれ、篠笛の材料として重宝されてきました。
人工煤竹
人工的に作られた煤竹。篠竹をあえて過酷な環境下におくことにより、弱い竹は割れ、淘汰することによって、本当に強い竹だけが残ります。